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2006年12月02日
 ■ 残業代11.6兆円が消失する?!」

 今年の流行語大賞の一つは、予想通り「イナバウアー」に決定しましたが、予想外に健闘(?)し、トップ・テン入りしたのが「格差社会」。格差問題が社会的に認知されたという意味では歓迎すべきでしょうが、逆に、「流行語」となることによって、ことの本質がはぐらかされ、言葉としては換骨奪胎されてしまったのでは、との危惧も感じます。

 格差が固定化されてしまう原因は、「労働者派遣」の合法化を皮切りとした労働の「規制緩和」、その結果としての「不安定労働」の増大にあることは言を待たないと思います。ここがターニングポイントとなって、労働者は「労働力」を売る存在から、「人間そのもの」を売る存在へと、資本によって位置づけ直されたのだと思います。

 そして「労働の規制緩和」の推進は、今や最終コーナーをまわり「8時間労働制」の破壊に向かって、まっしぐらに進んでいます。すでに成果主義の導入以降、労働者には「自由時間」はありません。寝ている時も、休日の時も、「仕事」のことを考え続けなければなりません。これは経営者の生活・文化スタイルですが、今や、多くのホワイトカラーが、同様なスタイルを「選択」させられています。そしてついに法制としても「8時間労働制」が免除される「ホワイトカラー・エグゼンプション」が…。

 興味深い記事がNBonline(日経ビジネスオンライン)に載っていますので紹介します。

 なお、労働法制の変容と格差社会を実写したものすごくいい本が、弁護士の中野麻美さんから出されました。『労働ダンピング―雇用の多様化の果てに』(岩波新書 06.10)。イチオシ、ニオシ、サンオシの本です。

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