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2007年01月02日

 ■ 迷惑なお年玉=「希望の国、日本」

 明けましておめでとうございます。

 新しい年が来ました。4月に統一地方選、7月に参院選と、今年は選挙が続きますね。(ついでに、フランスの大統領選も、後期・統一地方選と同日です)。

 候補予定者のみなさん、関係者のみなさん、正月休み返上で活動中のことと思います。心から敬意を表します。

 さて、昨年、小泉から「政権」を受け継いだ安倍ですが、郵政造反組復党、道路特定財源問題、本間愛人スキャンダル、佐田行革相政治資金疑惑などで支持率急落ですね。色々な世論調査が出ていますが、ネットではすでに支持=12%、不支持=80.5%という数字まで出ています。(参照―1)

 もう、とても「美しい内閣」とは言えません。

 何故、こんな事になってしまったのでしょうか。「週刊現代」が言うように「安倍晋三内閣を倒せ! “平成の陸軍” 財務省のクーデターが始まった」のでしょうか。それとも「『小泉継承』と『脱小泉』を同時に求める」安倍政権の「基本路線をめぐる壮大な矛盾」(「毎日」―参照2)が噴出しはじめたということなのでしょうか。

 安倍政権の急激な失速の原因を分析することは、興味が尽きぬことであり、また必要なことでもありますが、いまここで言いたいのはそのことではありません。脆弱な政権をカバーするかのように、いや、むしろそれを出し抜くかように政治の前面にしゃしゃり出てきた「商売人」のことです。

 日本経団連は07年1月1日、経団連ビジョン『希望の国、日本』を発表しました。(参照―3)
 それは、今後の方向として、小泉改革が生みだした様々な「弊害」(所得格差、都市と地方の不均衡や不平等など)を是正にすることには力を注がず、ひたすら経済成長を求めて、今後10年間、さらなる「改革」を徹底する、と宣言したものです。
 しかもこの「改革」の中には、教育、公徳心の涵養、集団的自衛権、憲法改正などもふくまれています。なんとも迷惑なお年玉です。

 この「希望の国、日本」は、別の方向からみれば、経団連が、国家・経済・社会の運営のビジョンを示したというだけにとどまらず、「日本経団連を政策集団として一段と強化する(参照―3)」(御手洗冨士夫・会長)方向をも示したものとして注目すべきでしょう。つまり、日本経団連会長の「首相化」の方向です。

 実際、安倍首相の脆弱さ、リーダーシップの無さが露呈して来るのと反比例するかのように、経団連会長・御手洗冨士夫の存在感が増しています。いや存在感が増すというより、傍若無人ぶりが高じてきている、と言った方がいいでしょう。

 なにしろ、この人は「改革」とは、自分の姿に合わせて世の中を変えることだと思っているような人です。
 自分が会長を務めるキャノンで偽装請負が発覚すると「請負法制に無理がある」と「法が悪い」と居直りの発言をしました。
 また、労働者派遣法について、「三年たったら正社員にしろと硬直的にすると、たちまち日本のコストは硬直的になってしまう」と現行法が規定する直接雇用の義務化の「見直し」を要求しました。
 さらに、自分の会社から自民党への献金を再開するために、外資系企業(キャノンは外資が50%以上の外資系企業)の献金を規制している政治資金規正法を、先の臨時国会で「改悪」させてしまいました。

 御手洗は、今回の「希望の国、日本」のなかでも、また、昨秋出した「強いニッポン」(朝日新書)の中でも、アメリカ駐在時代に体験したレーガンのアメリカ経済再生を日本でもやるのだ、と豪語してはばかりません。そして「私は改革が好きだ。ずっと改革に夢中になり、そのことばかり考えてきた」(「強いニッポン」)とも語っています。

 私は、この男はヤバイ!と直感的に思います。

 一企業のトップという地位で「改革に夢中」になっても、害は(それなりにあるにしても)比較的少ないでしょう。また、正式に政治家としてトップに立つなら、その仕事ぶりは、最終的には有権者によって審判が下されます。

 しかし、自らが「政策集団」と位置付けている組織のトップにたち、有形無形に政治をコントロールできる立場にI居ながら、その去就が有権者の意思に左右されない立場というのは、無答責と言われた天皇ヒロヒトか、闇将軍と言われた田中角栄なみの独裁者たりうることを意味しているのではないでしょうか。

 そして、この強烈なレーガン主義者が、まず、総力を上げて仕掛けてくるのが「労働ビックバン」=労働法制の改訂、その目玉である8時間労働制の破壊=「ホワイトカラー・エグゼンプション」です。

 安倍はフラフラですが、陰の首相の鼻息は荒いです。

 ホワイトカラーもブルーカラーも、そしてパープルもイエローもブラックも一緒になって、この希有の悪法を葬りたいと思う新年です。

 本年もよろしくお願いします。


  (参照―1)支持率 http://www.yoronchousa.net/webapp/vote/result/?id_research=1558

(参照―2 「毎日」記事)
http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/kishanome/news/20061227ddm004070047000c.html
(参照―3、経団連ビジョン「希望の国、日本」
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/vision.html

(参照―4)「月刊・経済Trend 2007年1月号」新春対談、安倍 対 御手洗
http://www.keidanren.or.jp/japanese/journal/trend/200701/taidan.html


投稿者 mamoru : 2007年01月02日 02:53

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