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2008年03月05日
 ■ 門川大作さんは、大きな声でしゃべる人だった

 

この原稿は「京都・市民・オンブズパーソン委員会」の会報『おんぶっと』30号用に書いたものです。

 京都市の新市長に門川大作さんが就きました。選挙戦はまれにみる激戦で、次点とは951票差の辛勝でした。しかし激戦の割には投票率は低調(37・82%)で、過去4番目の低さでした。

 私は今回の選挙で特定の候補者を応援することはしませんでした。しかし、一つ興味を持ったことがあります。それは、本命と言われた門川大作さんの人物像です。名前はよく聞きますが、私は見たことも会ったこともありません。「高卒」で京都市教育委員会事務局に入り、ほぼ40年で政令市の「市長候補」にまで登り詰めたその「力の源泉」とは何かに、興味がわきました。

 そこで門川さん関係のウエブ・サイトを色々と調べてみました。まず、目についたのは造語の多さ。「共汗」「便きょう会」「京都力」などなど。中小企業の成り上がり経営者はこういう造語や標語を好みます。システムによる人の管理ではなく、直接に「心」を管理したい欲求の表れでしょう。

 次ぎに門川さんの経歴。高校時代にベトナム反戦運動にのめり込んだとありました。しかし、教育委員会ではそれを「反面教師」にしてやってきた、と続きます。元左翼の労務屋というのは珍しくありません。門川さんもその類だとすると、かなりイデオロギッシュな人物ではないか、と勝手に想像しました。

 しかし、ウエブサイトだけの印象では心もとありません。門川さんを直接知る市民運動の知人のいく人かに門川像を聞きました。共通しているのは「役人そのもの」というイメージです。出世のためには何でもやる人、どうにでもなる人。つまり「弱きをくじき、強きに媚びる」という像です。なるほど。

 段々と自分なりに「門川大作像」が描けてきました。でもひょっとしたら間違っているかもしれません。ここは、直接、自分の目と耳で確かめてみることが大切です。

 そこで選挙期間も半ばを過ぎた頃、門川大作さんの政談演説会に出掛けてみました。凍えるような寒い夕方に、伏見区の某神社の境内であった集まりです。出掛ける前は、てっきり自民党関係者のお年寄りが集っている演説会だろうと想像していましたが、ハズレました。応援弁士も参加者も偏りがありました。そこは伏見区の民主党系、連合系の演説会だったのです。「相乗り」選挙の内側を見た思いでした。

 市会議員、連合副会長などの応援弁士の演説が続きますが、なかなか候補者本人が到着しません。最後の弁士である若い衆議院議員の演説の終わり間際に、ようやく門川さんが駆け込んできました。すぐに弁士交代。そして第一声。大きな声で「いやー、厳しい戦いです」。知名度がない、盤石な基盤がない、若さでは負けている、と陣営の楽観論を絞めたうえで、やる気と行動力では負けない、と自分の特徴を訴えます。

 期待はしていませんでしたが、政策の話しはまったくありませんでした。ただ、ただ、声の大きい人、との印象だけは強烈に残りました。しかし、このことを知っただけでも収穫でした。私の人生データには「声の大きな人は、権力欲が強い」と刻印されているからです。

 新市長がこれから何を語るのか、その内容もさることながら、どの場面で大声をだすのか。これから4年間、この点にも注意していきたいと思います。

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