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2009年01月03日
反貧困ネットワークの湯浅誠さんたちがやっている東京・日比谷公園の「派遣村」は、歴史を画する大闘争になりました。連日、正月のテレビニュースのトップを飾り、昨夜(2日)は、ついに厚労省の講堂が開放されました。ボランティアの人たちの献身的な活動に頭が下がります。「100年に一度の危機」にふわさしい、新しい時代のリーダー・活動家が生まれたように感じます。
しかし、一方でちょっと懸念されることもあります。
それは「派遣切り」によって、今まさに「野宿者」になろうと言う人たちと、従来からの「野宿者」の「分断」の問題です。
この間、マスコミは「派遣切り」された被解雇者に焦点をあてた報道を続けています。報道の価値があるのは「ニュー野宿者」であって、従来からの「オールド野宿者」はおよびでない、と言わんばかりです。昨夜の厚労省の講堂開放も、日比谷公園の「派遣村」入村者に対して、という限定的なものではなかったでしょうか。
今日(3日)、大阪に出たついでに、扇町公園の「大阪キタ越年越冬闘争」に寄ってきました。今日の朝日新聞(関西)で日比谷「派遣村」の大阪版として紹介されていたところです。そこで、お話を聞いたボランティアスタッフの人も、私と同じことを懸念されていました。
「派遣切りがマスコミでブームだけど、家がない、仕事がない、金がない、飯が食えない、なんてめずらしくないのにね。派遣切りされた労働者と、野宿の仲間が、仕事や居住のことを一緒に語っていけるといいが、厚労省の講堂開放への素早い動きを見ると、両者を分断したいんでしょう」
日比谷だけはなく、路上で「年越し」を迎える人々を支援するための炊き出しやテント提供などの「越年越冬闘争」は、東京では他に山谷や渋谷の「のじれん」などがあり、全国的にも各地に存在します。関西では(私はまったく関わっていませんが)釜ケ崎で「越冬年闘争」がもう何十年も前から続けられています。
ところが「派遣切り」報道ブームであるにも関わらず、イヤ、そうであるがゆえにか、マスコミは山谷や釜ケ崎の運動をまったく取りあげません。その一方で、派遣切りされ職を失った者への住宅提供と職業訓練を急げ、と主張しています。従来からの「野宿者」は放置、「派遣切り」による被解雇者は「救済」という厚労省の意を受けての報道姿勢なのでしょうか。
とまれ、日比谷の「派遣村」が、この国の一流企業の非道さとセフティーネットの脆弱性をあぶり出し、政治をしてネット張りに動かざるを得なくさせた功績は絶大です。そのことは賞賛してもし過ぎるということはありません。
そのネットを「選別的ネット(社会保障)」ではなく、従来からの野宿者もふくめた全ての人への「普遍的ネット(社会保障)」へと拡充させていくことができるかどうか、ここが今日のポイントのような気がします。
そして、さらに言えば、そのネットを、就労促進のための手段と位置付けるのか(アメリカ型~スウェーデン型)、それとも、就労する/しないを含めた生活の自律権を保障するものとして位置付けるのか(オランダ型)、この微妙ではあるが大きな原理的な違いを踏まえ、私達は、新自由主義から次の社会へ、どう舵を切るのか、いま待ったなしに問われています。
「ニュー野宿者」と「オールド野宿者」の連帯を!
投稿者 mamoru : 2009年01月03日 23:06
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