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2013年11月09日

 ■ ■「天皇の政治利用」考

山本太郎さんの天皇明仁さんへの「手紙」問題が、大手マスコミ、ネット、メーリングリストなどで話題になっています。

参議院での「処分」は5日に出されるという話だったようですが「今週中」とちょっと間延びしてきました。

当の太郎さんは「議員辞職はしない」という立場を鮮明にしています(当然ですね)。

この間の騒動を見ていて、私が一番強く感じたことは「なんとこの国の保守・右派言論は脆弱なんだろう」ということです。

山本太郎さんの行動を田中正造さんの「直訴」にアナロジーする人が多いですが、私は同じ「直訴」でも、むしろ2.26事件を思いだしました。

あの時、維新軍(いわゆる「反乱軍」)が掲げたスローガンは「尊皇・討奸」。これは「東電も自民党もダメだから、ここは一つ天皇明仁さんにお出まし願い、ぜひ原発ゼロの『ご聖断』をいただきたい」という太郎さんの心情(推測)と重なると思います。尊皇・討奸・脱原発!

象徴であれ、親政であれ、日本の歴史は、天皇が危機の時に前面に登場し国難を突破してきた、というのが明治政府が武力クーデターを正当化するために作り上げた国体論・皇国史観(ネタは水戸学)で、日本の保守・右派勢力は戦後もそれを連綿と継承してきたはずです。

だとすれば、山本太郎さんの行為は、この国体論・皇国史観を今に実践するものとして賛美することはできても、決して批判などできないはずです、保守・右派勢力の立場からは。

ところが現実は、山本太郎さんへの「天皇の政治利用はけしからん」の大合唱。天皇を最初に「政治利用」した明治維新の名を冠した「維新の会」しかり、天皇を最高度に政治利用する「天皇の元首化」を新しい憲法草案に書き込んでいる自民党しかり…。

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私は、維新の会や自民党などのように、建前では「天皇の政治利用」を批判しつつも、本音では「政治利用」を当然視する顕密使い分けや、現憲法の「象徴」という位置付けから天皇の中立性・非政治性を強調して、天皇の「神聖化」をはかる立場を超えて、本当に天皇の政治利用が不可能となるあり方を考えるべきだと思います。

それは簡単なことで、天皇・皇族に選挙権・被選挙権をはじめとする政治的権利、社会的権利、総じて「人権」を保障することです。

彼ら/彼女らは、選挙において投票するだけではなく自ら立候補できる。場合によっては自ら新たな政党を作ることも出来る。

また、彼ら/彼女らは、自由に外国にもいける。それを望んだからと言って決して「人格」が「否定」されることもない。

さらに、彼女/彼女らは福島原発問題について自らの意見を表明することができ、天皇明仁さんは山本太郎さんからもらった手紙に「返事」が書ける。

結局、第三者に「政治利用」されないためには、自らが政治的になる(自由を手にする)他ないのです。

今回、山本太郎さんの「直訴」によって脚光をあびた「天皇の政治利用問題」。本当に天皇の政治利用を不可能にするには、この方法以外にはない、と私は確信していますが、いかがでしょうか?

山本太郎さんの処分反対!

天皇・皇族に人権を!

投稿者 mamoru : 2013年11月09日 23:08

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