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2012年01月03日

 ■ 大阪「原発市民投票」体験記

新年明けましておめでとうございます。

本来は歓びのあいさつのはずですが、今年ほど、口にするがためらわれる年はありません。

それは、原発の事故が収束せず、放射能汚染がつづき、それを要因とする病気の発症がこれから本格することに、誰もが気付いているからではないでしょうか。

さらに、TPPや消費増税など「1%」の連中のための政治が強まっていることもあると思います。

正月休みに、切り抜いたままになっていた朝日の「プロメテウスの罠」を読み通しました。また、ネット上で評判になっていたNHKの「追跡・真相―低線量被ばく、ゆらぐ国際基準」や、福島原発事故の真相にせまった28日放映の「報道ステーション」も、動画でじっくり見ました。

http://www.dailymotion.com/video/xnbnjg_20111228-yyyyyy-yyyyyyy_news#rel-page-under-4

そして思ったことは「やはり、この国は本気で国民を守ろうとしていない!」ということでした。

私たちはよく「原発依存社会」という言葉を見聞きします。私はこの言葉に昔から違和感がありました。そして、幸か不幸か、フクシマ事故は、この言葉の本当の姿を明らかにしたと思います。それは、私たちの社会が「原発に依存」しているのではなく、電力会社、建設企業、政府官僚、御用学者などの「原発利益共同体」が、逆に私たちの社会に「依存・寄生」しているという姿です。

こうした出発点に立つと、脱原発の課題とは、自然エネルギーへの転換にとどまらず、原発や電源をめぐる「権力構造」(それは「99%」対「1%」の対立構造と重なる)を解体していくことを、重要な柱にして進めなければならないと思います。


さて標題の件。

昨日(二日)ずっと気になっていた、大阪の原発「市民投票」の応援に行ってきました。

署名数が思うように集まっていないということ、知人から「人手が足りない」とのSOSがあったこと、そして、後学のために、直接請求の運動を体験しておくのもよかろうと考えたこと、等々の理由で、我が身の非力を省みずに助っ人となりました。

参照:大阪市民投票
http://kokumintohyo.com/osaka/

当初の話では「仕事内容」は宣伝カーの運転手ということでしたが、大阪の地理にまったく不案内な私は使いものにならず、結局、都島区と生野区の2ヶ所のスーパーなどの商業施設の前で「署名収集活動」の「補助」を行うことになりました。(運転手役は、前半は泉大津市議の高橋さん、事務所までは、茨木市議の桂さんにお願いしました)

この署名、法定署名なので色々な制約があります。まず、署名を集める人が限定されていること。署名を収集できるのは、条例の「直接請求者」と「受任者」に限ります。(それ以外の人の「署名活動」は、前記2者が行う「署名収集活動」の「補助」という位置づけになります)

また、署名出来る人も「有権者」に限定されています。つまり、20歳未満と在日外国人は署名できないのです。さらに、署名には捺印が必要です。

そして、さらに、さらに面倒なことは、署名は、署名者の住む区ごとに、冊子を分けなくてはなりません。都島区の人と旭区の人が、同じ署名冊子に書くと無効なのです。

とまあ、直接請求の署名収集がしにくい仕組みになっているのですが、それにもめげすに通行人や買い物帰りの人に呼びかけると、こころよく応じてくれました。得て不得手もありますが、私で1時間で15筆から20筆ほど頂くことができました。私の体験では、署名に応じてくださるのは高齢者の方が多かったように思います。

また、大阪ならではの「ボケ」もあります。

「すみません、捺印が必要なんです…。拇印でもいいですけど」
「ボインならなんぼでもあるがな。胸のボインでいいんかいな」

さすが大阪のオバチャンです。

場所を移しての生野区での署名はちょっと困惑しました。「受任者」の人が「有権者かどうか確認してください」と指導して下ったので、それに従ってターゲットの通行人や買い物客に話しかると、5人に一人くらいの割合で次のような反応が帰ってきます。

「原発のこと投票で決めるの賛成やけど、オレ、日本人ちゃうねん」

この「市民投票条例案」が請求者の内容通りに成立すれば、在日の人でも、高校生でも、投票できます。条例はそんな内容になっています。しかし、その条例を請求する署名者に在日の人は残念ながらなれないのです。これが、今の、日本の民主主義の現状です。

それにしても、有権者の1/50以上(大阪市の場合42,000名以上)の署名というのは、ハードルが高いですね。重複や無効な署名を考えるとやはり60,000筆は必要ですが、現在28,500筆だそうです。

もう少し準備を整え、受任者を拡大してから始めたらいいのに、と思うのが率直のところですが、しかしこの運動、失敗するわけには行きませんね。議会に提出されて可決か否かの攻防に入る前に、署名数が有権者の1/50を超えられずに挫折することだけは避けなければなりません。

あとラスト一週間。近隣の人で時間の許す方は、ぜひ、応援に行ってください。事務所に連絡すれば、仕事を割り振ってくれるはずです。私も、最終日には再び行くつもりです。

投稿者 mamoru : 2012年01月03日 10:13

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