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2012年05月06日

 ■ 原発ゼロ記念日に…「一瞬」ではなく「永遠のゼロ」にむかって

■「止まった」のではなく「止めた」のだ

 久しぶりにブログを更新することにします。今日は連休最後の日であると同時に、日本列島の原発が全て止まった記念すべき「原発ゼロ」第一日だからです。祝っても祝い切れません。これは「止まった」のではなく市民が「止めた」のだ、と誰がおっしゃいましたが、その通りです。政府や電力会社は、何とか「原発ゼロ」を回避しようと大飯原発の3~4号機を「再稼働」させようと躍起になりました。しかし再稼働は阻止されました。
 大飯原発から50キロ圏にある大阪、京都、滋賀の首長が「住民の安全を守る」立場に立ち国と渡り合ったこと。経産省のごり押しの「地元説明」の茶番に、市民が敢然と抗議行動を貫いたこと。そして、その(都市部の)市民が展開した「地元」おおい町住民との「ポステング=対話活動」が、長いあいだ口をつぐんできた住民たち自ら声をあげるきっかけを作りだしたこと。このきっかけ作りには、遠く関東から原付バイクでやってきてテント活動をはじめた若者の存在も大きかったと聞きます。

■槌田劭さんの18日間のハンガーストライキ


 そして、京都では、4月18日から5月5日まで、京都駅前にある関電京都支店ビルの南むかいの交差点の一角を「占拠」して、使い捨て時代を考える会・代表の槌田劭さんが大飯原発の再稼働に反対するハンガーストライキを行いました。御年76歳。同じスペーで支援の座り込みや「さよなら原発1000万人署名」が行われ、かけつけた支援者は延べ400人を越えました。最終日の5月5日には、200人の仲間が関電前交差点に集まり、原発ゼロを祝い、槌田さんの18日間のハンストを慰労し、歌、トーク、キャンドルアクションなどを行いました。
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 ドイツから来ている立命館大学の先生が「ドイツは脱原発の先進地でしたがまだ8機の原発が動いています。でも日本は今日、市民の力で原発ゼロを実現しました。次は政策転換でゼロを実現してください」と激励されたのが印象的でした。
 途中から小雨混じりの天候となりましたが、それとは裏腹に、久しぶりに晴れ晴れとした気分なれた集まりとなりました。槌田さん、ホントにお疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

■原発ルネッサンスを諦め切れない推進派

 この「原発ゼロ」を「一瞬」ではなく「永遠」のものとするには、まだまだ大きな壁があります。政府・経産省・電力会社は「電力不足キャンペーン」と「安定供給の責任」をタテに、再稼働をごり押ししてくるでしょう。田中優さんが言うように「偽装停電」という戦術には警戒を強めなければなりません。
 また、日本がダメでも世界があるさ、というグローバリズムの精神を発揮して「原発輸出」が更に推進されようとしています。一機4000億円~5000億円、一ヶ所4機で2兆円。消費税1%分のお金が動くおいしいビジネス。日本で原発をゼロにしても、日本の原子力ムラやIAEIなど世界の原発推進機関が「原発ルネサンス」をあきらめない限り、世界で原発は増え続けます。「国内ゼロ」から「世界でゼロ」を実現したいものです。
 さらに「政策転換」をめぐる場での反動も強まるでしょう。この夏、政府、経産省、環境省の三つの「エネルギー長期戦略」に関する審議会が答申を出し、政府の新方針が「決定」されます。政府においては「脱・原発依存社会」という方向は既定方針(のはず)ですが、問題は「いつまでに」にあります。へたをすると「2050年に原発ゼロ」などという現状維持そのままの「政策転換」になりかねません。

■地元の住民が公然と「原発NO!」を語れる社会に

 そして、忘れてならないのが、フクシマ事故の行方と福島の人たちの安全と民主主義。福島県内に住む知人から「この”原発ゼロ記念日” 福島県内での動きは全くありません」というメールを頂きました。「原発に関して自治体はなんら表明できないでいます。情けないばかりです。自治体、商工組合関係は地元復興の動きばかりです」とメールは続き、さらに「放射線量の高い公園でラーメンフェスタを開くなど心配派には信じられないことも行っています」と憤りが表明されます。
 そうなのです。この「日本列島原発ゼロ」の実現が、フクシマ事故の前だったらどんなによかったことでしょう。しかし現実は「ディー・アフター」なのです。原発に「YES」か「NO」かを口にできないばかりか、放射線への恐怖を口にすることすらもはばかられるような空気が、事故を経てもなお(否、それが故に)彼の地を支配しているのです。このことを忘れないでおこうと思います。
 原発ゼロ・脱原発の実現とは、福島や原発を抱える地域(の住民や作業労働者)が、公然と原発について自分の意見(「YES」であれ「NO」であれ)を言えるように変わることです。その意味で、これから「原発ゼロ」を日々積み重ねることが、原発城下町の住民にとっても、原発から解放され民主主義を取り戻す、大きなきっかけとなることでしょう。

 「原発ゼロ」を永遠にするための「壁」はぞれぞれかなり高いです。しかし、いまま現在、民意が力となって原発を「止め」続けているのですから「永遠のゼロ」も民意の力で実現できるはずです。10万年先まで影響をあたえる原発に、トドメをさすことが出来る決定的なチャンスを、いま、私たちは迎えています。

投稿者 mamoru : 2012年05月06日 11:17

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