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2007年04月10日

 ■ 東京都民は「アホ」なのか―石原3選に思う

 東京都知事選で石原慎太郎氏が三選しました。事前の世論調査で予想されていたこととは言え、あの白い歯をニュッと剥き出しにした石原氏の笑顔がテレビに大きくアップされると、なんとも言えない気分になりました。カミさんも「東京都民はホンマにアホや!」と怒っていました。

 さて、東京都民は、ほんまに、「アホ」なのでしょうか。

 そうではない、という分析があります。オールタナティブ・メーリングリストに投稿された「まっぺん」さんの「希望が見えてきた。」がそれです。

 そのさわりだけ、紹介します。

 ●反転攻勢への兆しが見えた

 石原陣営は得票数の差を挙げて「圧勝」と評していますが、そうでもありません。我々は自信を持ちましょう。4年前の時に比して我々の力は拡大しました。
 4年前を思い出してください。対抗馬として最も有力視されたのは民主・社民・生活者ネットによって擁立された樋口恵子さんでした。その時にも樋口さんを応援する市民の勝手連が立ち上がりました。
 一方、共産党は独自に若林候補を擁立しました。ですから今回の選挙における上位三者はほぼ「同じ勢力」として比較が可能です。

 前回と今回の得票結果を比較してみましょう。

前回 石原 308万
    樋口 81万
    若林 36万  (投票率45パーセント)

今回 石原 281万
    浅野 169万
    吉田 63万  (投票率54パーセント)

 投票率は約9パーセント上昇し100万人近く増えているにもかかわらず石原は27万票も票を減らしたのです。
 「石原以外」へ流れた127万票は誰に投票されたのでしょうか?そのほとんどは我々の候補と共産党候補に集中し得票を倍増させました。その127万票のうち、実に115万票もが浅野候補と吉田候補に投じられたのです。
 これは驚くべき事実です。「都民の良識」が復活してきている、と言ってもいいのではないでしょうか。福祉など都民の生活に関わる問題、君が代などの思想的強制に関わる問題においてもっとも鋭く対決した二つの勢力が、前回に比して二倍の勢力となったのです。
 我々は「今回は敗北」しましたが、明日の勝利を確信できる地平へと一歩あゆみを進めることができたのです。

全文は、http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-April/012778.html

 こういう「大局的」な見方はとても大切だと思います。
 たしかに「希望」はありそうです。

 にもかかわらず、こうした事態の中でも、280万人を超える都民がなお石原を支持した、という事実はやはり重いと思います。

 投票日の前日、気の置けない仲間と「石原3選濃厚の情況をどうみるか」について議論しました。出された一つの意見は「東京は<勝ち組>の街になっているのではないか」ということでした。地域間の格差が拡大する中で、東京と愛知は<勝ち組>だというのです。

 さらに次ぎのような意見も。階層間格差という点から見ても、東京には分厚い「新ミドル」層が形成されており、石原支持層は、こうした物的な根拠のある人たちによって構成されているのではないか。

 この「新ミドル層」は、下層であるがゆえに「強いリーダーシップ」を求める「ネジレ層」とは違います。また、かつての「新中間層」とも違います。「新中間層」は勤労を尊びそれ自身勤労層の一部でしたが、「新ミドル層」は勤労(層)を蔑視します。

 仲間と行った床屋談義が、どこまで実態に迫っているのか分かりません。しかし「石原の強さ」の背景に何があるのか、単に都民がアホなだけなのか。それとも物的・経済的な根拠があるのか。もう少し深めたいテーマです。

投稿者 mamoru : 2007年04月10日 23:12

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