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2009年04月21日

 ■ 4.15 きょうと反貧困集会 橘木俊詔さんの話し

 4月15日、キャンパスプラザ京都で「貧困・格差社会を打ち破ろう!4、15 きょうと反貧困集会」が開かれた。橘木俊詔さん(同大教員)が「金融危機と貧困・格差の行方」と題した講演を行い、「きょうとユニオン」など3名の仲間が、貧困と向き合う現場からの報告を行った。
 主催は、今秋(10月18日)円山野音で三度目の集会を予定している反戦、反貧困、反差別共同行動(きょうと)実行委員会。集会には約100名が集まった。

 橘木俊詔さんは、「12年ほど前に『日本の経済格差』を出して、一億総中流社会が終わったと報告した。昨年来のアメリカ発の金融危機がさらに格差と貧困を拡大している。日本の金融機関への影響は少なかったが、アメリカ経済の縮小で輸出が減少し、国内経済が減速した。そのつけが『派遣切り』として労働者に向けられている」と現状を分析した。そして「今後の運動の方向性」として次のように提起した。

 「日本の最低賃金=時給700円では生活できない。欧米と比較しても低すぎる。何故上がらないのか。経営側の抵抗や連合のサボタージュなど理由はあるが、最低賃金を上げたら失業者が増える、という脅しを打ち破ることが必要だ。そのためには失業保険などのセフティーネットを充実させ、大企業・フルタイム・男性・正社員をモデルにした雇用保険制度を、非正規労働者も入れるようにすることが必要だ」と訴えた。

 そして新自由主義者が吹聴する「トリクル・ダウンセオリー(上層が潤えば自然に下層も潤う)」は資本主義の実態を反映しておらず、「ウィナー・ティク・オールモデル(勝者独り占め)」こそが現実を説明しているとして、「だから上から下への所得の再分配が必要なのだ」と力強く結んだ。

 講演の後に「ブラジル人労働者の家族や子どもたち」の生活相談活動の報告を「愛知県語学相談員」の右田マリアナ春美さんが、「京都における争議、労働相談の実態」を「きょうとユニオン」の玉井均さんが、京都の野宿者の支援活動の報告を「きょうと夜回り会」の本田次男さんが行った。
 その中で玉井均さんは、インフルエンザの派遣労働者を寮から追い出そうとしたパナソニックの例を報告しながら「マスコミは、派遣問題の旬は過ぎた、次は正社員切りだ、という雰囲気だが、資本はより巧妙に間接雇用と有期雇用を活用しようとしている。事態はむしろ悪化している」と警告を発した。

投稿者 mamoru : 2009年04月21日 21:35

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