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2009年05月17日

 ■ 豚インフルよりも恐いもの

 豚インフレエンザ騒動が続いています。ついに渡航歴なき高校生が感染し、感染者が拡大中です。しかし、豚インフルエンザそれ自身の怖さよりも、それが引き金となって表出しはじめた政治・社会の「歪み」の方がもっと恐いように思います。

 そもそも「水際作戦」で防ぐと言う政府の方針がおかしかった。人・物・カネがグローバル化している今日、それが無理なのは分かっていました。しかし、人工衛星の「落下」を迎撃ミサイルで「破壊」できると信じている政治家には、それが理解できなかったようです。膨大なお金を投入して「水際作戦」を展開しましたが、あえなく「敗北」しました。その昔、B29の空襲に対して、竹槍で対抗しようとしたのと同程度の政治が、今も続いているようです。

 そして、感染者へのイジメも深刻です。寝屋川の高校には、「なぜ、旅行先でマスク着用をしなかったのか」という電話やFAXが殺到したそうです。橋下知事まで便乗して、当該の教師を批判しました。しかし、マスクで感染を防げるのでしょうか。WHOは「確証はない」と公式にコメントしています。むしろマスクで防げると信じる人が、他の手段をおろそかにすることによって感染が拡大することを警告しています。

 ところが政府はマスク着用を奨励しています。マスクの品薄を見越して、ネット上では「即納」を宣伝する広告が活況を呈しています。ひょっとして、この政府の対応って、「エコポイント」と同じで「経済危機対策」なのでしょうか。

 イジメをしているのは政府も同じです。帰国した高校生は7日間もホテルに「拉致」されました。米国では「隔離」ではなく自宅待機が奨励されています。「むやみに病院に行くな」とまで、NY市長は市民に訴えています。日本では国民に「冷静な対応」を訴えている政府自身が「冷静な対応」をせず、恐怖心をあおっています。その結果、感染者へのイジメ、諸イベントの中止、自粛などを呼び起こしています。(甲子園のジェット風船も自粛だそうで、これで、タイガースの借金もさらに増えることでしょう)。

 今わかっている豚インフレエンザの特性は次のようなものです。

 ・弱毒性である。
 ・濃厚接触で感染する。
 ・死亡率0.03%
 ・タミフル等が効く。

 ところが政府の対応は、強毒性のインフルエンザ(H5N1)を想定したマニュアルにそっています。これがそもそもの誤りです。なぜこうなったのか、裏には、厚労省の役人の思惑(豚インフルを名目にした危機管理の実験をやりたい)がありそうですが、本当のところはわかりません。政府もそろそろ軌道修正するようです。今時の騒動は夏の到来とともに引くでしょう。

 一般のインフルエンザが猛威を振るう秋・冬以降が次の山場となるでしょう。このまま歪んだ政治と社会が続く限り「犠牲者」の拡大は必至です。

投稿者 mamoru : 2009年05月17日 21:47

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