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2010年02月03日
１月30日、東京の日比谷野音で普天間基地の撤去と名護市の辺野古に作られようとしている新基地に反対する集会が行われました。参加した人から熱気あふれる集会の様子を教えもらいました。その中で「普天間飛行場の閉鎖・返還と海兵隊の米国への移転を求める自治体首長・議員の共同声明」の運動主宰者が壇上で報告を行ったとありました。
私は、２７３名もの自治体首長・議員が名前を連ねたこの共同声明は、大変重要な内容を含んでいると思っています。原文は以下にありますからまだお読みでない方は、是非、目を通してください。
●「普天間飛行場の閉鎖・返還と海兵隊の米国への移転を求める
自治体首長・議員の共同声明」
http://www.peace-forum.com/mnforce/kyoudouseimei.htm
この「共同声明」は、呼びかけ人の筆頭に伊波洋一・宜野湾市長の名前があるとからも分かるように、内容的にはこの間、伊波さんと宜野湾市が精力的に主張してきた普天間問題についての独自の認識と同じ立場にたち、「日米両政府が合意しているグアム移転計画の全容を検証し、その背景も含め沖縄県民・日本国民に明らかにすること」を要求しています。
伊波さんたちの独自の主張とは、簡単に言えば「米側の計画では、普天間の海兵隊は全部グアムに移転する計画なので、代替飛行場は必要ない」というものです。
これは、私たちの多くが、マスコミの洗脳攻撃によって信じ込まされてきた「米側は、普天間撤去の代わりに辺野古に新基地を求めている」という、普天間問題を考える上での土台となっている認識を根本から改めさせられる内容です。こんなコペルニクス的な思考転回を必要とする「声明」に、よくも２７３名の自治体首長・議員が名前を連ねたものだと、大変、感心しています。
とは言っても「本当にそんなことがあるのか」と伊波さんが主張する状況認識をにわかには信じられないという人がいるかもしれません。そういう人は、宜野湾市のホームページで公開されている、伊波さんが与党議員を「教育」するために作った資料に直接、目を通してください。
●沖縄等基地問題議員懇談会 2009/12/11
「 普天間基地のグアム移転の可能性について」伊波洋一（宜野湾市長）
https://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/0912_mayor.pdf
●「普天間飛行場のグァム移転の可能性について」プレゼンテーション資料
https://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/091126_mayor_1.pdf
この資料を市民むけに簡単に解説してくれているページもあります。
●池田香代子のブログ
兵員もヘリも沖縄には残らない 田中宇さんの沖縄米軍基地問題解説（１）
http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/51304119.html
●米国のグアム移転計画と日本側の情報操作による世論誘導（青山貞一）
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col12002.htm
文字と資料だけでは分かりにくい、という人には動画も用意されています。
●動画：日テレニュース 代表質問 沖縄・宜野湾市の伊波市長に聞く
http://www.news24.jp/articles/2009/12/11/04149543.html
こうした伊波さんの主張に対する政府（外務、防衛）側の対応は「海兵隊は抑止力維持のために一万人が沖縄に残るので、代替の新滑走路は必要である」というものです。
しかし、これは従来通りの主張ですからおどろくものではありませんが、一方で、運動の側で、伊波さんや宜野湾市と同じように米軍の「グアム統合軍事開計画発」関連の資料を分析した上で、「宜野湾市が主張するように、普天間基地の機能の大部分がグアムに移転するとは言えないのではないか」と言う人もいます。ピープルズ・プラン研究所の事務局の山口響さんです。『ピープルズ・プラン』４８号に連載された「海兵隊グアム移転―誰のための負担軽減なのか（２）」での主張です。
原文は以下で読めます。
●「海兵隊グアム移転―誰のための負担軽減なのか（２）」
http://www.peoples-plan.org/jp/ppmagazine/pp48/pp48_yamaguchi.pdf
●「海兵隊グアム移転―誰のための負担軽減なのか（１）」
http://www.peoples-plan.org/jp/ppmagazine/pp47/pp47_yamaguchi.pdf
誤解のないように言っておくと、山口さんは、決して普天間基地の撤去に反対しているのではありません。そうではなく「沖縄の負担軽減」を口実にして、グアムに一大軍事拠点を築こうという米側に対して、ホイホイと巨額のお金を出そうという日本政府に反対しているのです。
そして反対する論拠として、アメリカ側でも「グアム移転計画」が確たるものとなっておらず、進捗度合いも低く、さらに予算をつける議会でも認知度が低い、ということを論証し、そんなあやふやな計画に日本が先走って巨額なお金を出すのは間違っている、と言っているのです。その先には、グアムで基地に反対する住民（人口１７万人）への連帯のエールがあります。
話しを元に戻すと、山口さんが「普天間基地の海兵隊がグアムに全面移転する」という見方に、慎重な態度を示したのには根拠があります。昨年１１月に発表された海兵隊移転の「環境影響評価」の中間報告の中に示されている「航空機投入計画」に、普天間に配置されているヘリコプターの名前がないからです。あっても「一時配備」扱いで、「グアムにあらたに常駐することになるのは、『オスプレイ』の名前で知られるMV-２２が１２機のみ」（山口）だからです。そこから、「宜野湾市が主張するように、普天間基地の機能の大部分がグアムに移転するとは言えないのではないか」という見方が出てくるのです。
ところがその後、今は普天間には配備されていない「オスプレイ」が、現在配備中のCH-４６Ｅ中型ヘリに代わって２４機、普天間に配備されることが米軍の計画書で明らかになり、防衛省もそれを認めたのです。
●オスプレイ普天間配備可能性認める（琉球新報）
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-154112-storytopic-1.html
グアムに配備される「オスプレイ」は「一時配備」も含めて２４機。この２４機は今度新たに普天間に配備される「オスプレイ」であることは間違いないでしょう。そうであるならば、方向としては、普天間ヘリ部隊が司令部隊とともにグアムに移転してゆく可能性はかなり高いということになります。
私は、伊波さんが言うように「普天間の部隊がほとんどグアムに移転するので、新滑走路は不要である」というは事実だと思います。その事実をインペイしたまま、海兵隊のグアム移転費用を日本が出し、さらに不要な「新基地」も作る、という詐欺を日米合作ですすめているのが真相ではないかと思います。これはもう現在進行形の新たな「沖縄密約」であり、権力犯罪です。詐欺団の中には、辺野古のＶ字型滑走路でしこたま儲けようという土建企業も入ります。
そしていま、詐欺要件の一角がくずれました。名護、辺野古への「移設」が不可能になったことです。また「県外移設」も不可能であることははっきりしています（共同通信の都道府県アンケートで「基地受け入れ」に手をあげるところは一つもなかった）。
残っている道は「グアム移転」です。しかしここでも詐欺は続くでしょう。アメリカは渋々「グアム全面移転」を受け入れ、日本は平身低頭して「新たな移転費用」を差し出す、というシナリオです。
これは日米支配層にとって、ある意味では既定路線であり「後退」でもなんでもありません。海兵隊の「グアムへの移転は、即応能力を備えて前方展開態勢を備えた海兵隊戦力を実現し、今後５０年にわたって太平洋における米国の国益に貢献することになる」（米海兵隊司令官ジェイムズ・コンウェイ大将 08/09/15）からです。
そして、このプロジェクトに日本が巨額のお金を出して米国財政の「負担軽減」をはかる。これぞうるわしき日米同盟の「深化」ならぬ「真価」です。
●普天間移設「グアムが一番いい」？＝鳩山首相
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200912/2009123000480
普天間問題の詐欺的な「解決」（落としどころ）が見えてきた今、改めて、私たちは「グアム移転」への態度が問われるでしょう。グアムもまた沖縄と同じ「観光と基地の島」。島の三分の一は軍用地です。アメリカに占領され米領となり、日本にも４年間軍事占領された歴史があります。そこには「グアム統合軍事開発計画」に反対する先住民の生活があります。
先に紹介した山口響さんの連載の３回目は、そのグアムの住民の側から基地がどう見えているか、という内容だそうです。発行は、季刊ですから、普天間の「５月決着」にむけた輪郭がはっきりしてきたころ。大いに期待しましょう。
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脱稿後、グアム住民の運動を紹介したYou-tubeを紹介してもらいました。ぜひご覧になってください。
●太平洋の島グアム 米軍基地増強計画に先住民が反対
http://www.youtube.com/watch?v=JOmrMEhvLOI
●グアム移転 住民から反対意見
http://www.youtube.com/watch?v=0a0UgQ9ishE&NR=1
投稿者 mamoru : 2010年02月03日 20:33
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