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2004年10月17日

 ■ 皇太子発言と「天皇・皇族の人権問題」

 この文章は、20004年5月20日に書いたものです。5月10日の皇太子発言を「天皇・皇族の人権問題」として考える、という私の基本的な立場は、今も変わっていません。


 皇太子の例の発言、おどろきました。発言には「雅子を守るんだ!」という気迫がにじみ出ており、「感動」してしまいました。この皇太子の発言、反天皇制運動では、どのように評価されているのでしょうか。ご存じの方、教えてください。

 反天皇制運動の良質な部分は、80年代後半の反Xデー闘争で培った反天理論によって、今後の天皇制攻撃の一つを「開かれた皇室」キャンペーンとしてとらえ、それへの批判に力点をおいてきたように思います。そのモデルは英国で、女性週刊誌は勿論のこと「新潮」「文春」も「開かれた皇室」の線にそった天皇・皇室像を提供しつづけてきたと言えます。

 しかし、皇太子発言と、その後の宮内庁の右往左往ぶりが明らかにしたことは、皇室は反天皇制派が「警戒」するほど充分には「開かれて」はいなかった、別の言い方をすれば、開くことを否定する「勢力」が存在しているらしい、ということです。いや、もっと本質的な言い方をすれば、天皇・皇室の将来像をめぐって支配階級はかなり混乱している、ということです。ここに介入の余地はないでしょうか。

 今回、皇太子発言が光を当てたのは「雅子の外国訪問」問題でした。いわゆる「皇室外交」(宮内庁は「親善訪問」という言い方をして「外交」という言葉は使いませんが…)の機会が少なかったことを雅子に代わって皇太子が批判したわけです。

 これに対して、護憲的な反天皇制論者ならば、「天皇の国政に関する権能の限界」という立場から「皇室外交」に反対するでしょう。また、反戦の立場に立つ反天皇制論者は、「派兵国家化をすすめる装置」として「皇室外交」を粉砕の対象とするでしょう。

 私はちょっと違います。

 私は、「雅子さんをはじめ、すべての皇族に外国訪問の自由を!」と言いたい。雅子さんには、行きたい時に、行きたい国に行く自由が保障されるべきです。もし望むならば「自己責任」でイラクに行って、子供たちを救うボランテイア活動をしてもいい。そして、そうした権利は、雅子さんに限らず、天皇をはじめすべての皇族にも保障されるべきです。

 それだけではありません。政治表現の自由/国籍離脱の自由/外国移住の自由/職業選択の自由/婚姻の自由/皇室離脱の自由/財産を処分する自由/選挙権、被選挙権/養子をすること/皇位継承における男女平等、など、これらも保障されるべきです。

 ついでに言えば、この際、天皇・皇族も、いま問題になっている「国民年金」に加入してもらいましょう。所得税や相続税も払ってもらいましょう。そうです、国民の義務を果たしてもらうのです。

 皇太子の発言は(彼が自覚しているかどうかは別にして)「天皇・皇族の人権問題」という長らく政治の片隅におしやられてきたテーマに光を当てました。この課題について、反天皇制運動や人権運動の内外で議論がわき起こることを願います。

投稿者 mamoru : 2004年10月17日 00:21

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コメント

皇族は神であり人権は存在しない。

投稿者 里山 : 2005年04月09日 20:08

天皇が人間であるならその老後もあるはず。してみれば彼等も年金を負担しない理由はない。
論理的に彼が人間で無いならその老後は無く。負担は政策論にすぎない。
我々は何時まで前近代的な制度を当然のように考えるのであろうか?

投稿者 土屋 健一 : 2005年04月29日 05:32

皇族は生まれながらにして神の中の神である。∴神となった戦没者にさえも敬礼しないのである。皇太子・妃殿下の最大の公務は親王殿下の御誕生である。神に対して畏れ多い事であるが皇太子殿下は最大の公務への認識が無いのではないか?

投稿者 里山 : 2005年05月02日 15:40

彼等は人であり人でありながら神格化している。矛盾しているものは存在を否定されていくのでは?我々一市民が救いの手を差し伸べるべきではないのでしょうか?

投稿者 三嶋隆明 : 2005年06月29日 23:25

彼等は勿論、生物学的にはヒトである。でも社会的には神である。神であるから誕生した途端に高額の収入があるのである。だから神として演じ続けるべきである。都合の良い時だけ人格を主張するのは誠に畏れ多い事では有るが疑問に思う。

投稿者 里山 : 2005年07月02日 18:27

>それだけではありません。政治表現の自由/国籍離脱の自由/外国移住の自由/職業選択の自由/婚姻の自由/皇室離脱の自由/財産を処分する自由/選挙権、被選挙権/養子をすること/皇位継承における男女平等、など、これらも保障されるべきです。


これらを認めるとなると、もはや象徴天皇制は成立できなくなる。というか、立憲君主制の天皇制は存在しなくなる。結局、そこへ行き着くのだと思う。

おそらく、皇太子殿下は将来の天皇の器ではないのかもしれない。昭和天皇は弟の秋篠宮のほうを可愛がられていたそうだし...たぶん、そのことを分かっておられた。つまり、皇太子殿下は普通の青年だったわけである。しかし、自分の生まれから、普通の青年である権利は最初から無かった。皇太子殿下は自分の宿命に従ってきた人生だったのが、皇室に馴染まない女性・雅子を妻に迎えることによって、それが一気に爆発したのだと思う。

今、皇室の血の原理を崩壊させる危険がある女系天皇の容認についての議論があるが、これを推し進める小和田家に加担?している皇太子殿下は、45歳にして最大の反抗期を迎えているのかもしれない。おそらく、皇太子殿下の本音は、「もう憲法上の皇室はこれで終わりにしても良いじゃないか?何故、周囲はそれを許してくれないのか?だったら、女系容認に加担して皇室の血の原理を崩壊させてやる!」ではないのか?

投稿者 雅 : 2005年10月24日 09:59

日本近・現代史の国辱:
近代天皇制は海賊某の孫大室寅之祐を明治天皇にすり替えた大陰謀
で成立した
天皇家の血統は久しい以前に途絶えている
虚構の天皇家は民間人化する運命にある

必見: http://gold.ap.teacup.com/tatsmaki/24.html

投稿者 前田 進 : 2005年11月15日 20:03

人権や民主主義そのものは敗戦の土壇場にできたものです。
わたしは、少なくとも心情的には人権や民主主義という思想そのものに疑問を持っております。
もちろん、議会制度や言論の自由という制度は歓迎いたしますが、その根拠はあくまでも、皇室、祖国、家族といったものための手段です。

むしろ、私たち国民が自由を享受しすぎているのが問題ではないかと思います。
私自身も、神様のように気品よく振舞うことが出来ない自分が恥ずかしいくらいです。

投稿者 マハーシア : 2008年02月24日 22:49

前略 ヤフーのブログから 歴史 明治天皇 替え玉入れ検索し2面の昨日ーの誰かのブログに書き込みました 参考まで 仙

投稿者 伊勢の仙 : 2009年02月21日 16:53