じょんのびblog

森岡正宏　様

はじめまして。
京都の五十嵐ともうします。

　森岡先生が「Ａ級戦犯はもう罪人でない」とおっしゃられたとか。大変おどろきました。また、残念でした。

三点だけ質問します。

一点目。

　Ａ級戦犯２５名は、なによりもわが１億の民を戦争にかりたて、祖国を敗戦にいたらしめた大日本帝国の指導者です。彼らには侵略戦争（平和に対する罪、人道に対する罪）の罪と同時に、祖国と同胞を誤った道に導いて敗戦にいたらしめた「罪」があります。
　東京裁判がどうこう言う前に、また、中国や韓国から批判される前に、なによりも国内問題として、誤った戦争に導いた指導者を裁く義務は国民にあります。これは近代国家のいわば常識です。
　森岡先生の発言は、この近代国家の常識を覆すことを意図したものでしょうか。

二点目。

　私の伯父二人も「英霊」にされて靖国に祀られています。小泉首相がくり返すように「心ならずも」死んだのです。その「英霊」たちは、自分を戦地においやった責任者と一緒に祀られて、気分がいいでしょうか。
　伯父二人は、「心ならずも」死んだ「英霊」として、Ａ級戦犯２５名を絶対に許さないと、私は、固く信じております。
　森岡先生は、戦争に駆り出された一般兵士が、自分を駆り出した側の戦争犯罪者と一緒に靖国に祀られることを喜んでいるとお考えでしょうか。

三点目。

　ホームページを拝見したところ、森岡先生は西郷隆盛さんを尊敬されているとのこと。ご存じのように西郷隆盛は、新生日本の生みの苦しみの中（西南戦争）で戦死しました。しかしその西郷さんは、靖国神社に祀られておりません。「朝敵」だからです。
　明治維新に際して、新生日本のため功績を残した西郷さんが靖国に祀られず、国民に災難をもたらしたＡ級戦犯が祀られるのは、なんと理不尽なことではないでしょうか。
　西郷隆盛を尊敬する森岡先生は、このことを、どうお考えでしょうか。

　以上、３点について、お返事をいただけると嬉しいです。

　五十嵐守

＜資料-１＞

「Ａ級戦犯はもう罪人でない」自民代議士会で森岡政務官

朝日2005年05月26日19時00分

　森岡正宏厚生労働政務官は２６日の自民党代議士会で、小泉首相の靖国神社参拝に関連して、「Ａ、Ｂ、Ｃ級戦犯は極東国際軍事裁判で、平和や人道に対する罪だとかを占領軍が勝手に作った一方的裁判だ。Ａ級戦犯の遺族には年金をもらっていただいており、日本国内ではその人たち（Ａ級戦犯）はもう罪人ではない」との考えを示した。

　さらに「中国に気遣いして、Ａ級戦犯がいかにも悪い存在だという処理のされ方をしているのは残念だ。日中、日韓関係が大事というだけで、靖国神社にＡ級戦犯がまつられているのは悪いがごとく言う。こういう片づけ方をするのは後世に禍根を残す」と述べた。

　この発言について、細田官房長官は同日の記者会見で、「事実関係は種々誤り等が含まれており、論評する必要はない。極東軍事裁判などは政府として受け入れている。政府の一員として話したということでは到底ありえない」と述べ、政府として森岡氏から事情を聴く考えのないことを明らかにした。

＜資料-２＞

共同2005年5月27日

中国が「強烈な憤慨」　森岡政務官発言で

　【北京２７日共同】中国外務省の孔泉報道局長は２７日、談話を発表し、森岡正宏厚生労働政務官が「（Ａ級戦犯は）日本国内ではもう罪人ではない」と発言したことなどに対し「強烈な憤慨」を表明した。

　孔報道局長は森岡政務官の発言を「個人的でも、偶発的でもない」と指摘。小泉政権への不信感を強めていることを示しており、中国が今後、対日姿勢を一層硬化させる可能性が高い。

　局長は発言を「国際正義と人類の良識に対する公然たる挑戦」と非難。「日本軍国主義の野蛮な侵略によって被害を受けた国民の感情を深く傷つけるものだ」と激しく反発した。

　その上で「東条英機（元首相）をリーダーとするＡ級戦犯は世界平和と人道に対する歴史的罪人」と断定し、極東軍事裁判（東京裁判）の結果を「戦後国際政治の基礎」と、断固として尊重していく立場を強調した。

　また「日本は国際社会で責任ある役割を演じられるのか疑問だ」と述べ、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りを強くけん制した。

（共同通信社）